
1日目、炎と対話しながら焼いていく
立っているメレンゲを感じるように
私たちの直火焼きバウムクーヘンは、1本の完成までに丸2日かかります。
まず、8割は生地。とにかく生地づくりが決めてになります。朝早くから生地を準備。素材はシンプルなもので、乳化剤・膨脹剤・保存剤等の添加物は一切使用しておりません。粉類は固さを確かめながら、混ぜ過ぎを注意し手で混ぜ合わせます。
焼成できるのは限りがあってたとえば今日は、大サイズ3本、小サイズ3本を順に1本ずつ焼き続けました。
わたしは、文字通りぴったり付きっきり。常に回る芯棒の下には16個のバーナーの火が直接見えています。暑くてメガネなしには焼成作業はできません。1本のバウムクーヘンを育てる16の炎と対話するように炎の強弱を調整しながら少しずつ生地をかけていく緊張が続きます。ゆっくり過ぎても急ぎすぎてもいけない。
仕上がりは、立っているメレンゲを感じるのが理想です。
焼き終えたら次の日の朝まで静かに置きます。半日ほど常温で冷ますことで生地が締まってくるので、次の作業がスムーズです。


2日目、生命を吹き込むように仕上げる
この1本に生命が宿るのは、手から離れた瞬間
空気調整した厨房であっても、その日の温度や湿度の影響を受けるので、同じ工程でも微妙に毎回変わり、年輪にそれが現れてきます。
2日目の朝、落ち着いている状態を確認し、表面にチョココーティングを施します。このコーティングは、表面の乾燥防止のためであり飾りではありません。また少し寝かせ、バウムクーヘンを鋭利な薄い刃でピースサイズに切れ目を入れていきます。
頃合いを見て芯棒から一気にバウムクーヘンを抜くと、中心が丸く空きます。やっと解き放たれた大きな円柱に、生命が吹き込まれたようです。
こうして丹精込め仕上げてきた1ピースが購入され、わたしから離れて行く時は、育ててきた子どもが巣立っていくようです。
しかし、ここから離れお客様へお渡しする時が本当に新たな生命の宿る瞬間かもしれません。
箱を開けて口にする時も、食べ終わった後も笑顔あふれる特別な時間になりますように。


